相続遺言判決実例集…(東京高判・昭和45年3月17日家月22巻10号81頁)


  • (東京高判・昭和45年3月17日家月22巻10号81頁)
 

(東京高判・昭和45年3月17日家月22巻10号81頁)


 (東京高判・昭和45年3月17日家月22巻10号81頁)

「被控訴人は『遺言証」なる本件自筆遺言書の交付を受けていながら,被相続人である亡甲の生前はもとよりその死亡後も他の相続人である控訴人等ことに亡乙及び控訴人Xlから異議の出ることを恐れ,控訴人等に対しては右遺言書の存在を固く秘匿し,亡甲の死亡後相続の承認又は放棄をなすべき3箇月の期間満了間際の昭和30年10月6日頃法律知識のある司法啓士に本件遺言書のとおり亡甲の遺産全部を自分独りで承継取得する方法について相談した結果,控訴人等を含む他の相続人全員に相続の放棄をさせるよりほかによい方法がないとの結論に達し,時あたかも右相続放棄の申述をなすべき3箇月の期間の満了間際であったので,同日取敢えず他の相続人の名義をも冒用して東京家庭裁判所に右期間伸長の請求をし他の相続人全員に相続放棄をさせようとしたが,亡乙等が放棄を肯んじなかったため右の方策は不成功に終り,そのまま亡甲の遺産相続については何等の処置もなされずに打ち過ぎていたところ,亡甲の死亡後2年余を経過した昭和32年8月頃相続税の納付の件で税務署に呼出されたことが契機となってA弁護士に相談し,亡甲の遺言の内容の実現を図るため東京家庭裁判所に対し遺言執行者に同弁謹士を選任すること及び本件遺言書の検認を請求し,ここにはじめて控訴人等を含む他の相続人に対しても本件遺言書の存在を公表するに至ったものであって,被控訴人は亡甲の死亡後直ちに本件遺言書を公表するときは,控訴人等他の相続人から遺留分減殺請求権の行使を受け,本件遺言書のとおり亡甲の遺産全部を自分独りで取得できなくなることを恐れ,亡甲の遺産全部を何んとか独りで承継しようとして亡乙及び控訴人YI等の遺産分割請求を即け,相続税納付の必要に迫まられて本件遺言書の検認請求をなすまでこれを公表せず,本件遺言書を隠匿していたものと判断するのが相当である。そうすると,被控訴人は本件遺言書により亡甲からその全迪産の遺贈を受けたが,相続に関する被相続人の遺言書を隠匿した者として,民法第891条第5号及び第965条の規定により,亡甲の遺産について受適者たるの資格のみならず相続人たるの資格をも失ったものといわざるを得ない。」

 


 

 


 

 
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