相続遺言判決実例集…(最大判・昭和53年12月20日民集32巻9号1674頁)


  • (最大判・昭和53年12月20日民集32巻9号1674頁)
 

(最大判・昭和53年12月20日民集32巻9号1674頁)


 (最大判・昭和53年12月20日民集32巻9号1674頁)

「民法884条の相続回復請求の制度は,いわゆる表見相続人が真正相続人の相続権を否定し相続の目的たる権利を侵害している場合に,真正相続人が自己の相続権を主張して表見相続人に対し侵害の排除を請求することにより,真正相続人に相続権を回復させようとするものである。そして,同条が相続回復請求権について消滅時効を定めたのは,表見相続人が外見上相続により相続財産を取得したような事実状態が生じたのち相当年月を経てからこの事実状態を覆滅して真正相続人に権利を回復させることにより当事者又は第三者の権利義務関係に混乱を生じさせることのないよう相続権の帰属及びこれに伴う法律関係を早期にかつ終局的に確定させるという趣旨に出たものである。1そこで,まず,右法条が共同相続人相互間における相続権の帰属に関する争いの場合についても適用されるべきかどうかについて,検討する。H現行の民法884条は昭和22年法律第222号による改正前の民法のもとにおいて家督相続回復請求権の消滅時効を定めていた同法966条を遺産相続に準用した同法993条の規定を引き継いだものであると解されるところ,右993条は遺産相続人相互間における争いにも適用があるとの解釈のもとに運用されていたものと考えられ(大審院明治44年付)第56号同年7月10日判決・民録17輯468頁,最高裁昭和37年け)第1258号同39年2月27日第一小法廷判決・民集18巻2号383頁の事案参照),また,右法律改正の際に共同相続人相互間の争いについては民法884条の適用を除外する旨の規定が設けられなかったという経緯があるばかりでなく,口相続人が数人あるときは,各相続財産は相続開始の時からその共有に属する(民法896条,898条)ものとされ,かつ,その共有持分は各相続人の相続分に応ずる(民法899条)ものとされるから,共同相続人のうちの一人又は数人が,相続財産のうち自己の本来の相続持分をこえる部分について,当該部分についての他の共同相続人の相続権を否定し,その部分もまた自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し,他の共同相続人の相続権を侵害している場合は,右の本来の相続持分をこえる部分に関する限り,共同相続人でない者が相続人であると主張して共同相続人の相続財産を占有管理してこれを侵害している場合と理論上なんら異なるところがないと考えられる。」

 


 

 


 

 
相続遺言判決実例集